「君は神だ☆」と言われましても…

自分の中の神様スイッチ押すブログ

繁栄と長寿をひとつにする旅 ~イワナガヒメとコノハナサクヤヒメの物語~ 後編

みなさんこんばんは!

ニニギミノルです。

 

今回は、伊豆と富士の旅の後編です。

 

 

 

雲見浅間神社を出て宿に戻ると、

奥の厨房ではおばあさんが朝食の支度を始めていた。

 

朝食の時間は、7時30分と決まっている。

あと1時間近くある。

僕は、もう一度露天風呂に入ることにした。

 

登拝でかいた汗と、

夫婦松から降ってきた水を流し、

風呂の中で、笑い疲れた太ももを癒す。

 

圧倒的な睡眠不足だが、

それを上回る爽快感が僕を占領していた。

 

朝食にはもったいないくらい、

立派な品数のご飯を堪能し、

15分だけでも仮眠を取ろうと布団に入った。

 

朝日が大きな窓から入り普段なら寝にくい状況だが、

今ならのび太ばりの瞬睡ができそうな気がする。

 

しかし、目を閉じるとまたプーンが近づいてきた。

明るい今なら容易に始末できるだろうと、

体を起こしヤツをロックオンする。

 

何度も何度も、

手を叩くが掌にはヤツは見当たらない。

 

薄い壁の向こうでは、

怪しい朝の儀式でもやっているのではないか

思われるほど、

手を叩き続けた。

 

ヤツのおかげで、

苛立ちが睡魔を遠ざけたので、

仮眠は諦め出発することにした。

 

冷静になって気づいたのだが、

あれだけ攻撃されていたのに、

1か所も刺されていない!

きっとこれがこの旅で一番の奇跡になることだろう。

 

 

8時台のラッシュアワーでも、

前後に車を見かけないような道を富士に向かって走る。

昨日は暗くて見られなかった伊豆の景色を楽しみながら。

 

しかし、どうも気分が上がらない。

富士山に行くのは初めてだが、

テレビや新幹線からその荘厳さ、

美しさはじゅうぶん知っている。

そして、その富士を詣でる人の多いことも。

 

ところが、富士に祀られたコノハナサクヤヒメのその姉は、

富士からこんなにも遠いさびれた温泉街で、

たった164mの烏帽子山

歪んだ瓦の本殿で遠くの富士を見つめているのだ。

むろん富士からは烏帽子山など眼中にないだろう。

 

 

イワナガヒメはどんな気持ちでここに来たのか。

どんな気持ちでここに居続けるのか。

どんな気持ちで富士の妹を見つめるのだろう。

雲見の小さな夫婦岩が、

さみしく脳裏に浮かぶ。

 

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車で走ること3時間弱。

伊豆から富士山麓に入り、

富士の北東に位置する忍野八海に到着した。

 

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この日の富士山はガスと雲が多く、これがベストショット。

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碧い池の底から水が湧いているらしい

 

ここと次に訪れた不二阿祖山太神宮は、

当初の予定にはなかった場所だが、

友人の勧めで寄ることを決めた。

 

 

着いてから知ったのだが、

ここは富士の湧水で有名で、

大小8つの池で豊富な水が湧いている。

車を降りると、外国人でごったがえしている。

欧米人は少なく、中国、台湾の人がほとんどのようだ。

 

僕は律義にすべての池を番号順に巡り、

もっとも美しく水が沸き上がる8番目の池で、

観光客の隙間からさきほどイワナガヒメに奉納した水を

池に撒いた。

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この池で伊豆の水を撒いた

 

ペットボトルから水を捨てる僕を、

周りは変に思ったかもしれない。

少しでも不審な顔をしてはいけないと、

「これがここのルーティーンなのか?」と

思わせんばかりのどや顔でボトルを空にした。

 

今度はそのボトルに、この忍野八海の水を入れた。

味見してみると、そのクリアさと軽さに驚いた。

 

 

次は20分ほどのドライブで、

不二阿祖山太神宮を訪れた。

 

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その土地から感じる奥ゆかしさに、

社の木や岩の新しさが浮ついて見える。

しかし、それがまた新旧融合し、

見たことのない新しい世界を創っていきそうな

期待感も同時にある。

 

一言でいうと、不思議な場所だ。

 

 

親切な巫女さんのお話を沢山聞かせていただき、

いよいよ最後の目的地に向かった。

コノハナサクヤヒメを主祭神とする、

富士本宮浅間神社だ。

 

車を停めて持っていく荷物を整理していて

はじめて気づいたのだが、

この神社に湧水はあるのだろうか?

 

それを汲むのも大事な目的のひとつなのだ。

ないならペットボトルを持って行っても仕方がない。

 

一度手ぶらで案内所へ行き尋ねると、

拝殿の隣にちゃんとあるそうだ。

よかった!

僕の感じた計画が台無しになるところだ。

 

着くなりとても大きな一の鳥居が出迎えてくれる。

二の鳥居もくぐり、拝殿を前にしたのだが、

どうも閑散としている。

 

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当然、3時前ということもあり参拝客が少ない。

だが僕が感じる閑散さは、物理的なものではなかった。

 

先日伊勢神宮で、

あるいはほかの神社でも感じたような、

華々しさ、賑やかさがなく、

グレイッシュなのだ。

色味がぼけている。

 

しばらく拝殿を眺めながら、

コノハナサクヤヒメや、

一緒に祀られている瓊瓊杵尊を感じてみたが、

明確な感覚はなかった。

 

僕が未熟なのか、

彼らが留守なのかはわからないが、

ここよりもこの神社の奥の宮と言われる、

富士山頂に登ってみたいと思う。

さっき164mの山登りで脚が笑ったことは忘れよう。

 

水が湧く隣の池のそばで、

蛇口から出っぱなしの湧き水を汲み、

かわりに伊豆の水を池に撒いた。

 

これでこの度のすべてのミッションは完了した。

 

 

水は女性性の象徴らしい。

そして、ふたつの浅間神社で、

そこに祀られた姉妹のエネルギーを

交換し合った。

そして、そのエネルギーを混ぜて統合した水を

僕の体内に入れる。

そうすることで、

イワナガヒメコノハナサクヤヒメの、

あるいは長寿と繁栄の、

エネルギーを僕の中に携える。

 

そして、来るべき日、降臨すべき地で、

長寿と繁栄のふたつが同時に成し得る、

新しく高い次元の世界をこの世にもたらす。

 

そんな馬鹿馬鹿しくも壮大な計画の、

第一フェーズがいま終わった。