繁栄と長寿をひとつにする旅 ~イワナガヒメとコノハナサクヤヒメの物語~ 前編
こんばんは!
ニニギミノルです。
この3柱の神様の物語は
ニニギノミコトはろくでなし? - 「君は神だ☆」と言われましても…
と、
をご覧ください。あんまり詳しく書いてないけど。
まず向かったのは、
伊豆と言っても、
有名な伊豆からずっと半島の先端へ向かった、
雲見温泉ってとこにあるんだけども、
まぁぁぁぁ、遠い。
東名を下りてから、伊豆の縦貫道そして136号線を走ること2時間半。
今回の旅はいつ行くのがいいのかって聞いたら、
『5月13日』って浮かんだから決めたけど、
とても伊豆と富士を一日で回って帰ってくるなんてできない。
だから、12日に雲見温泉で一泊して13日早朝から巡る予定。
で、仕事が終わってから出発したので、
温泉宿に着いたのは夜の9時半過ぎ。
初めてきた伊豆だったけど、
真っ暗で感動も興奮もありゃしない。
ただ、やっと着いた。。。ってだけ。
トイレ休憩以外ノンストップで6時間の単独ドライブ。
車降りても、まだ体揺れてるんだけど。。。
明日の朝は4時起きって聞いてるから、
(聞いてるって、頭に浮かんだだけだけどね)
すぐ寝床についても6時間しか寝れない 汗
部屋に入るなり慌てて弁当食べて、
露天風呂に入る。
おかみさんが言った通り、
ほかの客は入ったあとで、貸切状態だ。
6畳ほどの広さの浴場に、
檜造りの露天風呂。
そして、源泉かけ流し。これマスト!
この温泉宿探しにこの条件は譲れない。
温泉っていろんな泉質や場所があるけど、
霊的な個性っていうのもあると思う。
たぶん40分くらい浸かってたと思うけど、
その間ずっと、
なんとなく疑問に思ったことに、
なんとなく返事が返ってくるっていうのが、
続いてた。
まるで夢でも見てたみたいに、
ふと我に帰ったら、
会話の内容ほとんど覚えてないの。
会話の間には、
答えの秀逸さになんども、
「なるほど!」って思ってたのは覚えてるんだけど、
その内容は全く覚えていない。
なんかすごいもったいない気がする。
部屋に戻ると、
さっそく布団に入る。
風呂でゆっくりし過ぎたか、
時計はもう0時を指している。
今回雲見温泉での前泊を決めた理由は、
もうひとつある。
それは、瓊瓊杵尊が嫁にもらわずに追い返した、
このイワナガヒメのそばに長く居たかったからだ。
眠る前に、
「どうか、眠りのなかで、イワナガヒメとともに
居られますように」と祈った。
これだけの疲れなのに、
僕はなかなか眠りにつけなかった。
道中にコーヒーを飲み過ぎたせいなのか。
あるいは、あまり経験のない不思議な緊張が
そうさせているのかもしれない。
しばらくすると、
夢の中なのか数人の大人たちが僕の周りにいた。
普段着のただの一般人ぽい。
おじさんが大きな紙?を持ちながら
みんなでああだこうだと話している。
気持ち悪くも怖くもないので、
悪いものでは無いと思う。
気になって眠りに集中できず、
寝返りを打ってみると、
となりにイワナガヒメっぽいのを感じた。
ああ、来てくれたんだ・・と安心して寝付こうとすると、
耳の周りをプーンと蚊が近づく。
気になって何度も叩いてみるが、
なかなか捕まえられない。
蚊の音が消えたと思うと、
おじさんたちが現れる。
寝返りを打つとイワナガヒメ。
そして、蚊の音。
おじさん→姫→プーン→
おじさん→姫→プーン→
おじさん→姫→プーン→
からの、
アラーム。
時刻は4時。
一睡もしてないんですけど!感しかないが、
起きよう。
大切な一日が始まるぜ。
3Lの富士の天然水を片手に、
歩いて5分の雲見浅間神社に着く。
あたりはすっかり明るくなり、
灯りなしでも山中を登拝することができる。
130段の石段を登り、拝殿を参る。
さらに320段を登り、中之宮。
さらに、山道を登ること8分。
本殿そして、その上の展望台に着いた時、
ちょうど朝日が雲間から出た。
完璧なタイミングだ。
出てくる時に、部屋の古いドア鍵が回らず、
急ぐなか10分以上手間取ったのも、
このタイミングのためだったのかもしれない。
(気のせい)
水平線まで広がる太平洋と、
山間にのぞく朝日、
そして、足元には断崖絶壁。
着いた頃に汗ばんでいたシャツも、
もうカラッと乾いている。
上る時に各殿に奉納した富士の水を、
下りでは回収しながら拝殿まで戻る。
もう両のふとももの笑いが止まらない。
プルプルする足を引きづりながら、
なんとか鳥居まで戻ってきた。
現地で聞いたわけではないが、
この雲見には言い伝えがあるらしい。
神話で追い返されてしまったとされるイワナガヒメは、
コノハナサクヤヒメをとても恨んだそうだ。
だからこの地では、
富士を口にすると災いが起こるという言い伝えがある。
そんな姫を祀る神社に、
恐れ多くも僕は富士の水を奉納した。
他にもペットボトル水は置いてあったが、
富士の水はなかった。
自販機でも見当たらなかったので、
言い伝えは本当なのかもしれない。
拝殿から鳥居までの120段の石段の途中にある夫婦松で、
僕は晴れ間に松から降る時雨を浴びた。
あとで聞くと、
大きすぎる松を保護するために設置された、
スプリンクラーのようなものが作動したようだ。
僕のした行為をイワナガヒメは、
怒っているのかもしれない。
泣いているのかもしれない。
いや喜んでいるのかも。
ただ、いま僕は鳥居の外に出て、
身支度を済ませ、
富士へと向かおうとしている。
それが、僕がいましたいこと。
それだけでいい。
それだけがいい。
つづく。